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影の花

第23章 恋の魔法


帰路に着いた四人。

梅は自室でにへっと頬を弛ませる。

視線の先には、小川の綺麗な水に加えて、流木、石、砂利などの入った菫と撫子特性の飼育箱がある。

その中には勿論二匹のイモリ。

うきうきと眺めている梅に、背後から声が投げられる。

「梅お兄さん、虫は嫌いだったんじゃないですか?」

「んー……いえこれは別なんです、黒焼きにして、こ、恋のおまじないに……」

梅の言葉に、声の主の顔色が変わる。

すっと近寄り、梅の肩を叩いた。

「……もっと詳しく話を聞かせて貰ってもいいですか」

「ええ〜、でも、誰に使うかは内緒で……てっ、菫くんッ!?」

菫は深刻な顔で梅に迫る。

「黒焼きってなんですか……? ぼくのあげたいもちゃんとりっくんをどうする気ですか……」

「もう名前まで……あ、あああああ……」

梅の悲鳴が響いた。
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