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影の花

第23章 恋の魔法


「菫、行くぞー!」

「はいっ!」

撫子と菫は意気揚々と履物を脱ぎ、小川に足を突っ込む。

「うひゃー、ひゃっこいのう! どうじゃー、菫イモリおったかー!」

「まだですー!」

きゃっきゃっとはしゃぎ回る二人。

慣れた様子で草むらや泥の中を見て回る。

その後ろに続き、梅も怖々と足を踏み入れる。

泥の感触に顔を顰め、へっぴり腰で探し始める。

「わわわわ……み、見つかりませんように……じゃなかった、見つかりますようにい……」

瑞は微笑ましそうにそれを眺める。

昼顔も立ったまま三人を見つめている。

「昼顔さんは行かないんですか?」

「僕はいいです、菫くん程の虫好きでもないですし」

「それはきっとみんなそうですよ」

瑞がくすっと笑えば、昼顔も破顔する。

「昔、ここに兄弟みんなで来たんです。なんだか、色々思い出しました」

「昼顔さん……」

「夜顔兄さんも、昔はみんなで外遊びなんかしてたんですよ。あの時はその有難みに気が付きませんでしたけど」

「……また、いつか行きましょう? きっと、もっと楽しいですよ」

「ありがとうございます……その時は、瑞さんも行きませんか」

「はい、是非」

しんみりとした雰囲気に浸る二人。
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