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影の花

第22章 雌雄を決さない


「この櫛可愛い〜」

「ふふ。そうだ、あとから金平糖食べない? 美味しいお店の買ってきたんだ」

「ねえこれ見てえ、花の露! やっと買えたの〜」

「藤ちゃんの爪綺麗ねえ〜」

お座敷に集まった蘭、藤、桜、椿の四人。

きゃっきゃっと鈴のなるような声で笑い、嬉しそうにはしゃいでいる。

お気に入りの髪飾りを見せ合ったり、化粧品の話をしたりしては、また笑いを零す。

そんな仲睦まじい様子に、立ち寄った薊は鼻の先で笑う。

「女三人寄れば姦しいったあよく言ったもんだな」

「そうだねえ〜、女でも三人でもねえけどお」

隣の百合もうんうんと頷く。

蘭は二人を振り返り、

「あらっ、アンタ達も入ってもいいのよ? 自分磨きは陰間としての心意気を示してるのよ」

誇らしげに言う。

薊は、蘭の堂々たる言いっぷりに肩を竦めた。

「へーへー、そりゃあ立派な心掛けだ。素敵なお誘いどうもありがとうっと。有り難すぎて涙が出てくるぜ」

「薊さんも一緒に見る?」

藤が誘いかけると、薊は冷笑するように軽く首を横に振る。

「やなこった」

「……薊にいってほんと性格悪いよねえ〜」

「ほんとほんとっ」
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