• テキストサイズ

影の花

第21章 魔が差す


蓮華は腰を上げると、椿の前を通り過ぎ、

「少し待ってくれるかい? 良い物をあげよう」

文机の引き出しを開いた。

引き出しの中をゴソゴソと探り、小さな小箱を取り出す。

箱には帆柱丸と書かれている。

「はい、椿くん」

「なあに? これ」

椿は蓮華に手渡されたそれを両手で持ち、はてなといった顔で蓮華を見る。

蓮華はにこりと笑った。

「ちょっとした秘密兵器さ。当日はこれを瑞くんに呑ませてから迫ってみると良いよ」

「へー……」

「頑張って。君の魅力を存分に発揮すれば、どんな人も骨抜きにされると思うよ」

椿はぱっと表情を輝かせてお礼を言うと、

「う、うん! ありがとう、蓮華にい!」

蓮華の手がひたりと肩に添えられた。

「じゃあ……早速、練習を始めようか」

蓮華の目はうっとりとして、興奮に息が荒い。

「ちょうど試したかった道具も沢山あるんだ。椿くんはとっても可愛いからね、僕も楽しみだよ」

椿の顔が引き攣った。
/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp