第21章 魔が差す
「ふむ。なかなか良い案だと思うよ」
「でっしょー!」
「椿くん。水を差すようで悪いけど……瑞くんはそう簡単には一線を越えないんじゃないかな。不用意に手を出すと、幼い君を傷付けかねないからね」
「幼くないもん!」
椿は即座に否定するも、瑞が誘惑から逃げ回る姿を思い出す。
挙句障子を突き破り、当然いかがわしい雰囲気になることも無く。
あの夜はなかったことにされている。
しかし、再度部屋に二人っきりになれば瑞の警戒は免れないだろう。
「うーん……」
考え込む椿。
蓮華はくすりと笑い、
「だけど、瑞くんが押しに弱いのも事実だろうね」
意味深に呟いた。
「ふえ? じゃあ教えてくれるってこと?」
「うん、いいよ。色んな技を身につけておくことは、君が陰間として働き始めてからも役に立つだろうしね」
「ほんとお!? ありがとう蓮華にい!」
椿は正座を崩し、嬉しそうにぴょんと跳ねる。