第18章 イタミイリマス
あるよく晴れた日。
「う!」
「ちょっと桃にい〜、少しは手加減してよねえ!」
「ほらっ、ほら! こっちです!」
「ははっ……」
中庭で、水を掛け合って遊ぶしんべこ達。
そんな輪の中に、楽しそうに溶け込んでいる桃。
躑躅は軒下に座り、そんな光景を眺めながらぽつりと洩らした。
「……わたしは、勝手に桃のことを知った気になって。最近、ちっとも桃と話していなかった……」
隣に座る瑞は、躑躅の白い手に自分の手を重ねる。
驚いたように力が篭もるも、瑞の手を振り払わない、小さな手。
瑞は、血が出る程に短く切られた彼の爪をそっと撫でた。