第18章 イタミイリマス
「影の花を通さずに客を取るんだから、勿論俺らみたいなまわしは付かない。言わば用心棒なしで、一人で客を相手にする訳だ。……躑躅、最後は悪い奴らのおもちゃになって、道端にぶっ倒れてたよ。売り物の顔もボコボコにされて、残ってた目まで見えなくなっちまった」
瑞は言葉を失う。
「両目失って、白痴のお友達を抱えて、普通に生きていくのも難しいのに、陰間として稼げると思うか? 躑躅はそれでも客を取ってたけど、身体はどんどんデカくなっていく」
萩は淡々と言葉を吐き出し、
「……哀れだろ。それでも俺らは生まれた時からこの稼ぎ方しか知らねえんだよ」
瑞の肩をぽんぽんと撫でた。
「まあ……そういうことだ。躑躅も、やたらめったらに人を拒絶してるんじゃないって知って欲しくてな」
「はい……」
瑞は頷き、桃のいる方角を見つめた。