第16章 兄弟元気で留守が良い
「ンっ! な、何するんじゃ蓮華……!」
「撫子、君、傷跡を撫でられるのに弱いよね」
撫子の顔色が変わる。
「何じゃ……そげなこと……」
「勿論、下の弱いところも知ってるよ」
「わっ、わしが悪かったけえ! 蓮華それ以上来んなあ!」
蓮華はにっこりと笑って距離を詰め、
「あ〜ッ!」
廊下中に撫子の嬌声が響き渡った。
睡蓮は三角座りで、両耳を押え塞ぎ込む。
「だから嫌なんだ兄さんは……! 兄さんと間違うなんて僕への最大級の侮辱なんだ!」
「苦労してるんですね……」
瑞は睡蓮の震える背中をよしよしと撫で付けた。