第15章 苦労人
「ふー……梅さん、突然すみません。見つかるとなんだか面倒な事になりそうだったので」
梅を見下ろすと、
「は……あ、あ……」
瑞の腕の中で蕩けきっていた。
顔は紅潮し、呼吸も荒い。
足腰にも力が入らないようで、地面にずるずると滑り落ちていく梅。
「梅さん!?」
「ひゃあッ」
慌ててもう一度抱き締めた。
「……すみません……」
梅は瑞の背中の上で項垂れる。
足が立たなくなってしまった梅は、瑞におぶわれて帰路に着くしかなかった。
瑞はしっかりと梅をおんぶしながら微笑む。
「いえ。こちらこそすみません、驚いて腰が抜けてしまったんですね」
梅は赤面しながら頷き、身体を預ける。
瑞の背に顔を寄せつつ、心臓の音が伝わらないように胸を浮かせた。