• テキストサイズ

影の花

第14章 山嵐のジレンマ


「せやせや。いくら桔梗でも陰間遊びて結構金かかんねんけど、たま〜にこういうこともあんねん」

「桔梗でもは余計だっ!」

「せやから桔梗も、えらい豪勢やなあて思いながら、三人で絡んでたんやて。そんで最初に客の男が遊女さんを抱いてな」

瑞は内容の生々しさに恥ずかしそうにしつつも、興味ありげに相槌を打つ。

桔梗は居心地悪そうな表情を浮かべ、貧乏ゆすりをする。

「終わったあとに交代って言われたんやって。桔梗も遊女さんを抱け言うこっちゃな。まあ、そういうのに興奮するやつもおるんちゃう? 知らんけど」

「なるほど……それで、どうしたんですか?」

「桔梗が言われるがまま遊女さん抱いて、終わって、顔上げたら客がおらんかってん」

「えっ!?」

桔梗は蚊の鳴くような声で言う。

「……逃げられた」

「ゆっ、遊女さん抱いてる間に客に逃げられてん、コイツ! ほんで、慌てて客追いかけようとしたら。遊女さんに、待ちな、遊女とタダで遊べると思ってんのかいって詰め寄られて」

竜胆の声が段々笑い混じりになる。

「必死で弁解してんけど、なぜか桔梗がめっちゃくちゃに言われて。桔梗は男に抱かれた金も貰えへんし、男が抱いた遊女さんの代金支払ったんやて。そんでべそかきながら逃げ帰ってきたんや」
/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp