• テキストサイズ

影の花

第13章 流れ者


瑞は鈴蘭を羽交い締めたまま、助けを求める。

「しゅ、収集が付きませんねこれ……! 誰か! 誰か来てくださいいいっ!」

瑞の悲鳴を聞きつけた牡丹が部屋に飛び込む。

「蘭、落ち着け……!」

蘭を押さえつけた。

「鈴蘭ちゃ〜ん! 喧嘩はだめ〜っ、ぼくとお汁粉でも飲みに行こ、ねっ!」

紫陽花も後ろに続き、懸命に鈴蘭を宥める。

「離せ! あの女と決着付けたる!」

「だめだめだめ!」

「紫陽花、さっさと行くぞ……手が付けられん」

牡丹と紫陽花は二人がかりで鈴蘭を部屋から連れ出した。

再び瑞と二人っきりになった蘭は、肩を落とす。

「我が息子ながら、ほんと呆れるくらいにバカね……」

鈴蘭をさらりと息子と言う蘭。

その声色に抵抗は感じられなかった。

瑞は否定も肯定もせず、真面目な顔で呟いた。

「親子喧嘩ってああいう感じなんですかね。なんだか羨ましいです」

「いや特殊すぎるわよ、こんな親子」
/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp