• テキストサイズ

影の花

第13章 流れ者


そんな状況が何日も続き、瑞は疲れた顔でため息をついた。

「ふう……別に、やましいことはしていないつもりですが。見張られるというのは落ち着かないものですね」

ぽつりと吐き出した後、陰間たちの顔が頭によぎる。

自分も彼らに対し、妙な気を起こしかけた場面がいくつもある。

夕顔に至っては、既に一線を超えてしまっている。

「そ、それとも全く心当たりがない訳ではないから、落ち着かないのでしょうか……」

ブツブツと自問していると、肩に手を置かれた。

「わあッ!」

「あらやだごめんなさい、驚かせちゃったかしら」

飛び上がる瑞の目に、驚いた顔の蘭が映った。

「ああいえ、すみませんこちらこそ。少し考え事をしていて」

苦笑する瑞に、蘭は申し訳なそうに眉を下げる。

「瑞ちゃん、だいぶ疲れてるみたいねえ……鈴蘭のことでしょ?」

「えっ! そ、そそんなことは……!」

「ほんと、嘘が下手ねえ。いいわよ、場所を変えて少し話しましょ」

蘭と瑞は適当な一室に入り、二人きりで腰を据えた。
/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp