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ねぇ

第5章 前夜祭


彼女は聞き上手だからまた俺がずっと話してた。最近の大学での話とか色々話して盛り上がった、と思ってたんだけど考えてみたら俺が熱入って盛り上がっただけかも…

パスタ屋をでて2人並んで街を歩く。早すぎる1人反省会を始めてしまったせいで2人は無言。街の喧騒はそれを誤魔化してくれるBGMになっていた。

「今日、21日かぁ…」

彼女は不意に呟いた。

「ね!21日だけどもうクリスマスムードだね!」

ハッと我に返った俺はそれを皮切りにどうにか話を広げようとする。
強引だったな…
燦々と輝くイルミネーションのせいでいつもの街が見慣れない特別な場所みたいだ。

「ねぇ。好きでもない人からもらう誕プレは嬉しくない?」

予想外の返答に少しびっくりしてしまった。いつもならそうだねーと言われて会話が続かないのがオチなのだ。好きでもない人ってことはあまり深くない関係性?そんな人に誕プレを渡す…?しかもクリスマスプレゼントじゃなくて、誕生日プレゼント…?
この少しずれている感じが彼女の魅力なのだけれど、その突然さと投げられた質問の不思議さに疑問符が大量に浮いてくる。
目線の高さが変わらない彼女にじっと見つめられていた。俺は慌てて返答をする。

「そ…うだな、好きでもないっていうのは。えーと…嫌われてるってわけじゃなくて?」
「嫌われてる。…のかも。わかんない」

煮え切らない。わからないってどういうことだろう…
それに学部が違うからわからないけれど、学校内でも高嶺の花だろうしもしかしたら仲良くなりたいけど仲良くなれなくてキッカケとしてプレゼントを渡したいのかもしれない。
彼女は聞き上手な代わりに喋ると圧倒的に言葉足らずなことがあるから脳内で補ってみる。
前はよくわからなくて質問攻めしてたことも多々あったけれど、どれだけ質問しても核心な部分はあやふやにされて結局掴めない。それがわかっていたから、とりあえず俺なりに整理したことを言ってみた。

「う、ううん…好きでもない人からのプレゼントって俺の趣味じゃないことも多いし、難しいよね。でも、そうだな…嫌いな人からのプレゼントはちょっとやだけど、意外な人から貰うプレゼントってのは素直に嬉しいかも!」
「ふーん…」
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