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ねぇ

第5章 前夜祭


くるみside

「つきー!今日ほんっとーにたのしかった!またデートしよっ!」

私はそう言って元気よく手を振った。

「うん。ありがと」

つきはそういうと名残惜しさも何にもない感じでくるっと背を向けるの。その背中がいつも嫌に寂しくて、つきの中には私っていないのかなっていつも考えちゃう。

振り返ることもなくさも当然のように改札の奥へと消えていく。
つきがいないとぽっかり穴が空いたように寂しくなる。
すかさずメッセージを送った。

『気をつけて帰ってね!』

すぐに既読がついて、○を耳で作ったアホヅラうさぎのスタンプが送られてくる。返信も早いし本当に大好き。

にしてもよかった。
彼氏いないって。

ただ嫉妬。やっぱり変な虫どもがたくさん近づいてるみたい。嫉妬嫉妬嫉妬。飲み会なんて行くのやめなよって言ったけどはぐらかされた。
男ってほんと誰彼構わずなんだから危険なのに…
あれ、なんだか他に聞きたかったことはほとんどはぐらかされた気がする。
あーーーやっちゃった私のバカ!私の近況報告ばっかりつきにしてつきのことはあんまり聞けてないじゃない!!!
いっつもそう!もーーーばかばかばか!!

なんだかずっと一緒にいるのに私、つきのこと何にも知らない。ミステリアスで、クールなのに笑顔は可愛くて。今日も、幸せだったな。

…私、つきといない時はまるで私じゃないみたいなの。

家に帰るまでの記憶がいつもない。
暗い部屋、スマホを開いて、Instagramにあげた今日のパンケーキの写真を見る。ああ、やっぱ幸せだったな。

この時間、ほんと病む。
ずうっとつきに一緒にいて欲しいのに。

『あーあ。ほんと今日の好きぴとのデート楽しかった。私のものにしたいけど、、、そんなこと言ったらきっと引かれちゃう。やだな。私男に生まれたかった』

Twitterの裏垢。
私のつき関連の呟きにはいつもホス狂の友達がいいねしてくれる。
たまに同情もしてくれる。

「…叶わない恋、ドラマだと、エモいのに」
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