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ねぇ

第4章 熊谷鼎(クマタニ カナエ)


んーーー。
あーーーー。

一週間前の出来事を思い出して、悶えてる。
まさか俺がお持ち帰りするなんて。

先輩たちに唆されて憧れの先輩をお持ち帰りした。

「つきちゃんは本当にひょいひょいついていくからねぇ」
「そーそー」
「でもさぁ、俺も一緒にホテル行ったことあるし、友達で持ち帰った人もちょおおるんやけどさ、誰ともヤッたことねぇんだよ」
「え!まじ!?毎回持ち帰られてるからてっきりそういう子だと…」
「それは誤認。でも、めっっっちゃかわいい。本当に、あの子は身体じゃなくて夢を売る女だよ」
「てことだから、かなやんもチャンスおーありよ!」
「え、お、おれですか!?」
「だって気に入られてない?つきちゃんにー」
「いや、かなやんが狙ってんだよ本当お前目ぇ節穴だよな」

先輩たちの笑い声が響く。
先輩に取り入るのは昔から得意だったから、サークルでもすぐ馴染んだ。
普通にクラシックギターに興味があって入ったのに蓋を開けてみりゃただの飲みサー。
だから先輩はこのサークル内では希少なクラシックギターが弾ける人で、一生懸命やってるというよりはギターの音を鳴らしに来ている感じではあったのだけれど、本当に上手くて、そして一番話しかけやすそうだったから練習をよく一緒にしていただいているだけだ。別に…そんな…そんな…

意外にも先輩はお酒好きなようで、大体隔週でやっている飲み会にそこそこ来てるイメージだ。まさに次の日に飲みがあって、飲みゲーでその日いやに不調で負けまくった俺は、気がついたらベットの上だった。

「ん……へぁ!?」

隣で先輩が俺の腕を掴んで眠っている。
隣ですーすー寝息を立てている先輩。いや、待って、え?なんで…?
腕に俺のそれより柔らかい腕が絡みついている。
その夢のような心地に俺は多少パニックだった。
隣に、せん、ぱい…
こんな無防備なのに、ヤられたことがない…?
いや、え、いや、だす、つもりはもちろんないけど…けど…

先輩の頭。つむじが見える。
にしても、がっちりと腕を掴まれている。
振り解きたくない。

夢。

先輩たちの言葉の真意はわからないけれど、少なくとも俺はこの状態がすごく幸せだった。
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