【チェンソーマン】民間デビルハンターはヒロフミくんに愛される
第2章 これが私の戦い方
自分の席に座っていた私の隣の席に、吉田くんが腰掛けた。これは、まだしばらく話すよ、という意思表示と取っていいのだろうか。
「苗字さんの契約している悪魔って、どんなの?」
組むにあたって、いつかは聞かれていただろう質問を投げかけられた。
「……締切の悪魔」
──締切の悪魔。私が契約している悪魔の名前だ。
「何分後までに倒す」と宣言する事によって、宣言した時間分だけ自身の力をパワーアップさせる事が出来る。
私はかいつまんで説明した。
吉田くんは頬杖をつき、私の説明を聞いて時折頷く。
開いた窓から吹き込む風が、吉田くんの髪を揺らしていた。
「吉田くんは、悪魔と契約してるの?」
私が言ったんだから、私だって聞いていいはず。
他人にこんな事言うのなんて初めてだから、少し緊張する。
「してるよ、蛸の悪魔」
吉田くんはちゃんと答えてくれた。
へぇ、蛸の悪魔なんているんだ。新たな発見だ。
探せばヘンテコな悪魔もいそうだな、なんて考えていると、吉田くんが椅子を引いて立ち上がった。
「そろそろ行こうか」
「えっ!?」
まだどんな事が出来るのか聞いてないよ!?
私が何を言いたいのか分かったのだろう。
吉田くんは、
「戦う時まで内緒」
そう言って、笑った。