【チェンソーマン】民間デビルハンターはヒロフミくんに愛される
第3章 隣同士の理科室
「っ……」
私は顕微鏡に顔を寄せていた状態で横を向いていた。
吉田くんは私の事なんてお構い無しに顕微鏡を覗き込むような姿勢になったから、そのせいで必然的に吉田くんとの距離も近くなり、彼の頬が触れてしまうんじゃないかという距離の近さに私は息を飲む。
いきなりの至近距離に驚いた私は、てこでも動かないレベルで身体の動きを停止した。
停止したのはあくまでも身体だけで、思考はまだ働いている。
その働いている思考で、私がいたら吉田くんが作業をしずらい事に気がついた。
私はゆっくりと立ち上がり、椅子の後ろに移動する。
私の席に座った吉田くんは顕微鏡を調整し始めた。どこをどう操作しているのかはよく分からない。
中学の頃の理科の教科書、まだあったはずだから引っ張り出して使い方の勉強をしよう、と決意した時、
「見えたよ」
彼はそう言い、こちらを振り返った。