【チェンソーマン】民間デビルハンターはヒロフミくんに愛される
第2章 これが私の戦い方
「はぁ……」
机に突っ伏す。
一日中質問攻めにあったからか、何だか放課後になるまでが長かった。
ちらりと窓の外を見ると、青色の空が広がっている。終礼が終わってからそこまで時間は経っていないから、まだ明るかった。
教室にはまばらに人がいる。
そんな数人しかいない教室の中、自分のカバンを持った吉田くんが私に近寄ってきた。
「そういえば、何で教室に残ったの?」
私は吉田くんに問いかける。
「少し話そうと思って」
私がきょとんとしていると、私と吉田くん以外のクラスメイト数人が『ごゆっくり』みたいな顔をしながら教室を出ていった。
何だか勘違いされていそうだし、気を使わせたような気がして申し訳ない。
ああ、そうだ、これは言っておかないと。
今教室には、私と吉田くんしかいない。
だから言ってもいいだろうと思い、私は口を開く。
「教室で返事したせいで、何度も皆に質問されちゃったんだけど……」
「でも苗字さん、俺に直接言いに行くのは難しかっただろ?ㅤだから聞きに行ったんだぜ?」
吉田くんは首を傾けながら、余裕そうにそう言う。
確かに彼の言う通り、私はきっと自分から返事を言いに行く事は出来なかっただろう。
内容が内容だ、言うタイミングが掴めなかったに違いない。
「だ、だからってさぁ……」
私は不満げに唇を尖らせる。
「あはは」
吉田くんの笑い声が、二人きりの教室に響いた。