【チェンソーマン】民間デビルハンターはヒロフミくんに愛される
第3章 隣同士の理科室
あの時間は長く感じたなぁ……。中学時代の一時を思い出していたが、そろそろ現実を見なくてはいけない。
私たちは実質ペアだ。二人のうちどちらかが採取をする事になる。
「ここは公平にじゃんけんで……」
一方的に押し付けるのは良くない事だ、という考え方から、私はじゃんけんの提案をした。
採取する姿を見られるのが恥ずかしいのであって、別に細胞を見られる分は問題ない。
自分が負けたとしても何とかなるさ! 見ないでって言えばいい!
こちらに向き合った吉田くんは無言でグーの手を作り、私の方に手を寄せてきた。じゃんけんをしてくれる、という事だろう。
「じゃーんけーん」
私はグー、吉田くんはチョキを出した。
あ、私勝った……。
中学時代とは違う結末、勝利へ導いてくれたグーに感謝する。
それと同時に、少し申し訳ない気持ちに襲われた。自分が『恥ずかしい』って思う事をしてもらうわけだからね。
こういう気持ちになるのは、人間らしいっちゃらしいのかもしれない。