【チェンソーマン】民間デビルハンターはヒロフミくんに愛される
第3章 隣同士の理科室
いつも私が座っている場所を見ると、そこには既に座っている人がいた。隣の席や、向かいに座っている人の顔ぶれもいつもと違う。
「えっと、これどこに座れば……」
黒板の近くにある、教室だったら教卓がある位置にある机。その机で頬杖をつき座る生物基礎担当の先生──山本先生だ──は、私に視線を合わせると、
「自由ですね」
と言った。
「じ、自由?」
私が思わず聞き返すと、
「席を書いてる紙を無くしちゃったんですよねぇ」
との答えが返ってきた。
自分の席がどこかを覚えていない人がそこそこいたから、いっその事自由にしたらしい。私が白線と格闘している間に、理科室ではそんな事が起こっていたのか。何となく雑な気がするけどいいのだろうか。
「まぁもうみんな座ってるんで、二人はそこの空いてる三席の所に行ってください」
そこの、と、山本先生は指を指す。その指先、先生が示す場所を見てみると、確かに縦に三つ並ぶ椅子が全て空いていた。
ここに座るって事は、吉田くんと隣同士になるのか。
ぼんやりと考えながら、移動を開始する。そろそろ授業が始まるから、突っ立っているわけにもいかないのだ。
椅子に腰掛けたタイミングで、ちょうどチャイムが鳴った。