【チェンソーマン】民間デビルハンターはヒロフミくんに愛される
第2章 これが私の戦い方
しかし、いつまで経っても衝撃は来ない。
「…………?」
覚悟を決めて目を開く。
蛸が、私と吉田くんのクッションになっていた。私たち、助かった……?
「大丈夫?」
私をお姫様抱っこする吉田くん。彼と距離が近い事に今更ながら気がついて、頬に熱が集まった。
直前まで命が危なかった状況なのに、こんな反応をしちゃうなんて。助かった安心感からかもしれない。
「だ、大丈夫……」
どうにかそれだけを返す。今の私にはこれが精一杯だ。
悪魔は空を飛んで移動していたから、私たちが避難誘導をしていた場所からは離れていた。だから、この辺りには人がそこそこいる。
通行人からちらちらと見られているが、それも仕方のない話だ。いきなり人間二人が落ちてきたのだから。
「良かった」
吉田くんは蛸から立ち上がり、しゃがんでから私を優しく下ろしてくれた。
「立てる?」
「うん……大丈夫、立てる」
まだ若干吐き気や頭痛が残っているが、動けはする。問題ないと言っていいだろう。
締切を守れなかった事から生じる体調不良は、設定した時間分だけ続く。今回は三分間だから、しばらくすれば良くなるはずだ。
それにしても吉田くん、さっきから凄く私の事を気にしてくれているなぁ。優しい。
何とか落ち着きを取り戻した私は、周囲を見てみた。
それから、私はポツリと呟く。
「……ここどこ?」