【チェンソーマン】民間デビルハンターはヒロフミくんに愛される
第2章 これが私の戦い方
悪魔はビルの屋上に降り、きょろきょろと辺りを見回していた。悪魔がこういう行動を取るのは珍しいような気がする。
私は素早く吉田くんを下ろし、刀を抜いた。
悪魔の側まで走り、奴を真っ二つにする。
悪魔は無事に倒す事が出来た……のだが。
「──え」
悪魔が立っていた位置が屋上のギリギリだったせいで、バランスが崩れた。同時に頭痛と吐き気にも襲われる。
ギリギリ締切を守れなかった判定になったのかもしれない。今回は三分間と短めに設定したから、無理もない話ではある。
なぜそんな短く設定したのかと言うと、私の能力は、設定した時間が短いほどより強くパワーアップする事が出来るからだ。
ああでも、こんな事になるなら、もう少し時間を長めにしとけば良かったかも……!
後悔してももう遅い。バランスが崩れた私の体は傾き、地面に向かって落ちていこうとしていた。
やけにスローモーションに見える。
視界の端に、私に向かって手を伸ばす吉田くんがうつった。
どうやら走馬灯は見せてくれないらしい。空と、ビルだとかの建物だけが見えている。
「……吉田、くん!?」
吉田くんは、屋上から飛び降りた。私は、驚いて目を見開く。
どこからともなく蛸の足が現れて、私を絡めとった。
吉田くんの傍に寄せられる。
どんな技術なのか、空中にいるし、現在進行形で落ち続けていると言うのに、吉田くんは私をお姫様抱っこした。