【チェンソーマン】民間デビルハンターはヒロフミくんに愛される
第2章 これが私の戦い方
体が宙に浮く。
下に落ち切る前に、空気を蹴りあげた。
「走るだけが力の使い方じゃないん、だよっ!」
空を飛べるわけではないけど、こうすれば移動する事が出来る。
悪魔との距離は、徐々に縮んでいった。
「何で俺を連れてきたの?」
肩の辺りから声がするのは、なかなかに不思議な感覚がする。
吉田くんを抱えた人なんて、きっと私しかいないだろう。
「もしも三分以内にあいつが着地しなかったら、蛸で助けてもらおうと思って……。落っこちちゃうからさ」
私は苦笑いでそう言う。
制限時間以内に宣言した事が達成出来なければ、頭が痛くなったり吐き気を催してしまう。体調不良になるわけだ。
それに、パワーアップも解除されてしまう。
空気を蹴って移動しているのはパワーアップによるもののため、それが解除されると為す術なく地面に落ちる。大怪我どころじゃ済まないだろう。
大惨事になる事は避けたい。
そこで、さっき瓦礫を受け止めていた蛸の足を見て閃いたのだ。
そうだ、吉田くんに手伝ってもらおう!……組んでるんだしいいよね?
「……あの悪魔、着地するみたいだぜ」
頭を少し持ち上げて前を見ている吉田くん。こんな姿はなかなか見れないだろう。首がしんどそうだ。