【チェンソーマン】民間デビルハンターはヒロフミくんに愛される
第2章 これが私の戦い方
その後も私たちはパトロールを続けた。
悪魔と遭遇したのは、パトロールを始めた時に戦ったあの一件だけで、それからは平和だった。
平和なのはいい事だ。私たちの出番は、ない方がいいのだから。
「いつの間に駅前まで来てたんだ……」
邪魔にならないように歩道の隅っこに立って、私は呟いた。
ここは私たちが通う学校の最寄り駅だ。
電車通学の生徒はお世話になる駅である。いつもここを使っている生徒は多いだろう。
もしかしたら帰宅するクラスメイトらと出会うかもしれないと思い辺りを見渡してみたが、まだ部活動中だからかそれらしい人はいなかった。
私はほっと息を吐く。
それを見ていた吉田くんは、
「はは、大変だね」
と言った。
……確かにそうなんだけど、こう言われるとちょっともやっとするのはどうしてだろうか。
「そろそろ帰ろうか。暗くなるしね」
吉田くんはちらりと空を見上げながら言う。
日は沈み始めており、夕日が道行く人たちを照らしていた。
帰って宿題しないとな……。
「えっ何あれ」
「やばいって!」
吉田くんにつられて私も空を見上げていると、そんな声が聞こえてきた。
辺りがざわついている。何だろう、と思い視線をその方向に移すと、歩道に植えられている木がなぎ倒されているのが見えた。
「悪魔……!」
倒された木のそばに──悪魔がいた。