【チェンソーマン】民間デビルハンターはヒロフミくんに愛される
第2章 これが私の戦い方
足音と、時々カラスの鳴き声が聞こえる中、私と吉田くんは人の多い駅前ではなく、私の家へ向けて歩いていた。
私たち二人の間に会話はない。話す話題が思いつかないからだ。
周りからしたらどう見えているんだろうと思いつつ、私は足を進める。
無言で数分歩いているが、そこまで気まずくはなかった。不思議だ。
「……ここ」
私はマンションの前に立ち止まった。
横にいる吉田くんを見上げる。
「カバン貸して。置いてくるから」
「ありがとう」
吉田くんからのお礼は、少し擽ったかった。慣れない感覚に戸惑いつつ、私は彼のカバンを受け取る。
パトロールをするのならば、ここはさっさと行動した方がいいか。
私は小走りでエレベーターに駆け寄り、ボタンを押した。