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【OP】さよなら、My Dear

第7章 おまけ


「助けて……」
か細い震えた声が聞こえた。
『え……?』
「……助けてほしい奴がいるんだ! 撃たれて死にぞうなんだよ……!」
子供はボロボロと涙を溢しながら訴えかけている。なんだか肌が部分的に白いし、妙に息が荒くてツラそうだ。
『お、おい、大丈夫か?』
マルーが落ち着かせようと子供の胴に腕を回し頭と背をポンポンと撫でてやるが、その子供は更にしゃくり上げながら声を荒げた。
「おねがいしばす、助けでください……!!絶対しんでほしぐねェ人なんだ……!!」
寒さに凍える冷たい身体から、激しい心拍が聴こえてくる。この子も自身が苦しいだろうに他人のために助けを求めてここまで来たようだ。
参ったな。ロシナンテを探さなくちゃいけないのに……。
『……案内してくれ。手当てしよう』
放っておけない。
マルーは子供を背中に乗せ、怪我人の救助に向かうことにした。
『名前は?』
「……ロー」
『よし、ロー。走るからしっかり掴まっとけ』
子供の案内を頼りに雪道を駆けていく。
誰にも踏まれていない雪を踏むたびザコザコと慣れない感触と音がした。
しばらく走っていくと、誰かが塀に凭れて座っているのが見えた。大人の男だ。血だらけでグッタリとしている。
「コラさーん!! この人が手当てしてくれるって!」
背中の子供が声を張り上げて手を振った。
コラさんと呼ばれた男が気が付き、こちらに目を向ける。
「ロー……。マルー……?」
なんだか懐かしい声がした。いや、つい3週間前にも聴いたはずだ。
『…………』
目の前の男を見る。妙なメイクをしているが……やたら長い背丈と悪い目付き、そしてクシャッとした金髪は間違いなくマルーがずっと会いたかった人物のものだった。
『ろ、ロシ……』
地面の雪に足を取られながらも早足で近付く。
駆け寄って見ると、流れ出た血が雪にまで染みて辺りを赤くしていた。
『ロシナンテ!!』
背中の子供を下ろしつつ、マルーはロシナンテの銃創だらけの着衣を見て顔を蒼白にした。
「まさか本当に来るなんて……。久しぶりだな、マルー」
『"スライム"』
力なく笑いながら言うロシナンテを無視し、マルーはロシナンテの服の隙間から腕を突っ込んだ。
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