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【OP】さよなら、My Dear

第6章 麦わらとハート


「ここに居ましたか、マルー中佐」
『……准将殿。何か用ですか?』
マルーは相手の将校コートを見るやソファから起立した。
なんだか見たことある顔だ。かつては自分の部下だったのかもしれない。
「本部からマルー中佐にお電話です。電伝虫のところまで来てください」
『わかりました。すぐに』
そのまま准将に付いていき、部屋を出た。
「しかし全然見た目変わってませんねェ。羨ましいです」
『おや、8年間オモチャになって奴隷やってた甲斐がありました。ぜひ准将殿もシュガーに会ってみては?』
やはり面識はあるみたいだ。……名前は何だっけ。
「別に他意はないんです。まったく、すぐ喧嘩腰になるんですから……」
『それはすみません、中身も8年前と変わってませんので』
そんなことを話しながら電伝虫のところまで来た。結局あいつの名前は思い出せなかったな……。
口惜しさを感じながらマルーが受話器を取る。
『お電話替わりました。マルーです』
電話の向こうに告げると、息を飲むような音が電伝虫から聞こえた。
〈……! おお……マルー中佐……マルー中佐だな!?〉
震えた声でそう言うのは、マルーの直属の上官のものだった。とても聞き覚えのあるその声に、マルーもハッと息を飲む。
『まさか……Tボーン大佐?! 私のこと思い出したんですね……!!』
〈ああ、Tボーンだとも!! 元気かね!?〉
『ええ! Tボーン大佐もお元気そうで何よりです!!』
ホビホビの能力が解けたとしても、忘れていた人間が強制的に思い浮かぶわけではないらしい。ああ、確かこんな人いたな、となるまでは普通に忘れたままだと他の海兵から聞いた。
家族とかならまだ分かるが、ずっと昔に失踪したただの部下を一目も見ないうちに思い出して、しかも電話まで掛けてきてくれるとは……。
〈ドレスローザから軍艦が戻ってくると聞いて……ふいにマルー中佐の顔が思い浮かんだ。私としたことが、旅行に行ったまま帰ってこない部下を心配することもなく8年間も忘れてしまうなんて……! 本当に本当にすまない……!!〉
『謝らないでください、Tボーン大佐! 何もかもドンキホーテファミリーのせいなんです……! 大佐は何も悪くありません!』
申し訳なさそうな電伝虫の顔を見ながらマルーが焦る。
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