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【OP】さよなら、My Dear

第6章 麦わらとハート


『ひィ……私やっぱり海軍辞めます』
「ワッハッハ! どんな罰でも受け入れるんだろう? 世界の秩序のためこれからも頑張ってくれ」
元帥から降りて抱えるものが少なくなったセンゴクは、昔よりも楽しそうだ。
そんなセンゴクに付いて歩きながら、マルーは諦めたように溜め息を吐いた。
「顔が暗くなったな。……ほれ、おかきでも食うといい。うまいぞ」
センゴクから海軍おかきの袋を差し出される。今は呑気におかきを食べるような気分じゃない。
『お気持ちだけ………いや、全部ください』
思い直したマルーは袋ごと受け取り、中身を全部頬張り八つ当たりのように噛み砕いた。
バリバリと派手な音を立てて貪るマルーにセンゴクが笑みを向ける。
「うまいだろう。南の海の職人から取り寄せているとっておきのおかきだぞ」
『おいひいれす……』
モゴモゴと咀嚼しながらマルーが問い掛ける。
『…………センゴク大目付。ドフラミンゴが倒されお縄に掛かりましたが、これでロシナンテの魂は報われたんでしょうか……。ドフラミンゴはまだ生きています』
「なにも命を取ることだけが復讐ではない。奴にはちゃんと罪を償わせる。それに……あいつが命を賭けて守った子は今日まで元気に生き延びていて、止められなかったドレスローザの支配もこうして終わらせられたんだ。妙々たる結果だと思うぞ。……報われたかどうかはロシナンテにしか分からんことだがな」
『………それもそうですね』
おかきを全部平らげたマルーが少し納得したように返事をした。
「さあ、もうすぐ海軍テントに着く。職場復帰する心の準備はできたか、マルー中佐?」
『は、はい、センゴク大目付……!』
わずかに緊張を残しつつ、マルーはセンゴクと共に海軍テントに戻る。
先程センゴクから脅しのような言葉を聞いて怯みはしたが、実際に海兵として拠点に入ると8年ぶりに自分のアイデンティティを取り戻せたような気がした。
いつの間にか磨り減ってしまった自尊心が修復されているかのようだ。
『(私これからも頑張るよ……見守っていてくれ、ロシナンテ)』
復讐心に囚われて止まっていた時間が、ゆっくりとまた動き出していく。
そんな気配を感じながら、他の海兵たちと共にマルーはドレスローザを後にした。









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