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【OP】さよなら、My Dear

第6章 麦わらとハート


『ごめんなさい、センゴク大目付。私は9年前……立入禁止の資料室に無断で入って、ロシナンテに関する資料を漁って情報を盗みました』
謝罪と共にマルーが深々と頭を下げる。
こんなこと包み隠さず話したら海軍をクビになるだろう。クビにはなりたくないが、隠していた秘密を打ち明けるのは存外肩の荷が下りたような清々しさを感じた。
「ふむ……それはドレスローザと関係があることか?」
センゴクの声が重い。感じた清々しさは一瞬で消え失せてしまった。
申し訳なさを上回る恐怖心から、下げた頭を上げることすらできない。
『はい。ロシナンテを殺した奴はドンキホーテファミリーの者だと思って……ドレスローザを拠点にしていることを知ったので一矢報おうとしました』
「ドレスローザに来ていたのはその為か」
『ええ……私は何も出来ませんでしたが……』
やっぱり言わなきゃ良かった。どんどん気が沈んでいく。
マルーは早々に後悔し始めた。
『当然解雇ですよね……。入ってはいけない場所に入り、見てはいけない資料を見て、旅行と偽りドレスローザに乗り込んで8年間も帰って来なかった。人間としても海兵としても終わっています。解雇どころかインペルダウン行きでしょうね……』
陰鬱になりながら自棄気味にこれからのことを話していると、センゴクがマルーに向かって手を伸ばした。
『(やば……今ここで抹殺されるんだ……)』
おののいて動けずにいると、その手はマルーの頭を優しくワシワシと撫でた。
『…………!?』
マルーは驚き、思わず顔を上げる。
「安心しなさい、マルー中佐。お前はクビにも監獄行きにもならん。2年前の頂上戦争で人手が足りんのだから、嫌でも引き続き海兵をしてもらうぞ」
穏やかな声で冗談めかしてセンゴクが言う。
「いや、しかしお咎めが何もないのはいかんな。……私の資料を漁った罰として、海軍本部に戻ったら始末書を書いて私に直接提出しに来なさい。それで今回の件は不問に処すとしよう」
『そ……そんな、それで本当にいいんですか?』
「ああ。寧ろクビの方がマシだと思えるほど忙しくなるだろうからな、始末書よりも海兵を続けることの方が罰みたいなものだ。覚悟しておくといい」
言いながらセンゴクが微笑んだ。その笑みが意地悪にも憐れみにも見え、マルーは少し青ざめる。
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