第6章 麦わらとハート
引き続き道の人々を巻き込みながらアメーバを進ませる。マルーも一旦通過した鳥カゴを越えて、民衆を乗せたアメーバの後を追いかけた。
〈ルーシーが現れたァ~~!!!〉
ワアッと国全体から歓喜の声が沸き上がる。ルフィもどうやら復活したらしい。
『頑張れ、ルフィ……!』
中心街の方から轟音が聞こえる。建物が崩れたのか粉塵が舞っているのも微かに見えた。
走りながら中心街を気にしていると、段状の山の近くで何かが上昇していくのが確認できた。
黒くて丸い……あれはルフィだ。
それを追いかけてドフラミンゴも上空へ飛んでいく。
空中で決着をつける気らしい。ルフィの右腕があり得ないほど膨張し、マルーからもよく見える大きさになった。
「"ゴムゴムの"ォ……"大" "猿王" "神誅殺"!!!」
ルフィが拳を振りかぶるのと同時にドフラミンゴも糸で迎え撃つ。
「"銃"!!!!」
互いの攻撃がぶつかり合う。2人が戦塵に包まれ見えなくなったのも束の間、圧し負けたドフラミンゴがとてつもない勢いで地上に叩きつけられた。
その衝撃で建物は崩れ、地面は割れ、粉塵が上がる。
マルーは中心街の人々が崩壊する一帯から逃げようとしている様子を遠目から見てアメーバを止めた。
一発KOは叶ったのか。誰もが緊張の面持ちで勝敗の行方を待った。
〈空を見よ!! ドレスローザ!!〉
スピーカーからのギャッツの声に、みんな空を見上げた。
「鳥カゴが……消えていく!」
〈消えてゆくのは「鳥カゴ」か……! ドフラミンゴの"支配"か!! カゴの外に広がる風景は切り刻まれた町か……! はたまた……もはや操られる事のない自由の地か!〉
鳥カゴが消失したのを確認したマルーは民衆を解放しアメーバを自身の身体へ戻していく。
回収する最中、途中からギャッツがしゃくり上げて上手く喋れなくなり始めた。感極まってしまったんだろう。
大丈夫だ。勝ったのは間違いなく彼だ。
〈へやっ……!! ひよ……勝者は……!! ……!〉
これでもう、恨みは晴らされた。これでもう、ここに居なくていい。
〈ル"ゥーー~~!! シィィィ~~~~~!!!〉
満を持してなされた審判は涙にまみれていた。それでも、その場に立つ全員が待ってましたとばかりに喜び勇んで大歓声を上げた。