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【OP】さよなら、My Dear

第6章 麦わらとハート


見えはしないが、たくさんの人々がドフラミンゴをルフィが倒してくれると、自分たちを現状の危機から救ってくれると信じて期待を募らせている。
鳥カゴの中で熱気のこもった雄叫びが渦巻いている。それは先ほどまでの痛みや恐怖からの悲鳴ではなく、希望を抱いたことで上がった鬨の声だった。
〈聞こえてるかドフラミンゴ……!! 王を操り! 世界を欺き! このドレスローザに居座った偽りの王!! ――ここが貴様の……処刑場だァ~~!!!〉
そこで更に歓声が強くなった。国中がコロシアムになったかのように盛り上がっている。
〈コロシアムの生んだスター!!! ルーシーは蘇るっ!! その瞬間まで――あと"10秒"!!!〉
10秒。あとたったのそれだけでこの国は救われる。
本当にそうなら、私たちは鳥カゴに切り刻まれずに済む。
始まったカウントダウンを尻目にマルーは背後の鳥カゴを見た。
『……!?』
減速していたはずの鳥カゴの速度が少し戻っている……?
こんなの嘘だ。ジワジワと糸の接近が早くなってきている。
〈あと8秒!!〉
『なァ、おい。後ろ、後ろを見ろ』
横にいる海兵の肩を叩いて鳥カゴに目を向けさせる。
「うわ……! 何でこんな近くまで来てるんだ?!」
『分からない……ドフラミンゴの仕業か』
〈6!!〉
狼狽えてもしょうがない。
目測だと残り3秒の時点で私の位置に鳥カゴが来る。どうするべきか……。カウントダウンが終わったからといって同時に鳥カゴが消えるわけではないだろう。
『おいお前、この子供を持っていろ。離すなよ』
くまTシャツの子供を抱きかかえ、海兵に渡す。
「了解。……何をする気だ?」
『気にするな。じっとしてろ』
海兵の背を押し、詰まった民衆の方へ少し追いやった。
『"スライム"……"グローイング"……』
「3秒前!!」
すぐ背後まで振動と破壊音が響いている。おそらくもう既に背中と後頭部は切られている。
『……"タイダルアメーバ"!!!』
「2!!」
めいっぱい増殖したアメーバを民衆の足元に向けて投げつけた。アメーバは流動しながら民衆たちを掬い、無理やり中心街へ向けて前進していく。
「1!!」
パニックになった人々の叫び声が聞こえているが、まあ死ぬよりはマシだろう。
洗い流されたように広くなった街路を鳥カゴの糸がじりじりと削っていく。
「0ォ~~!!!」
『……よし。間に合った』
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