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【OP】さよなら、My Dear

第6章 麦わらとハート


「い、糸が止まった……?」
抱えている海兵も信じられないといった調子で呟いた。
ドフラミンゴが倒されたのか?!
それならすぐにこの鳥カゴも消えるはずだ。
マルーの表情が少し綻び、2人を地面に下ろそうとする。その瞬間、鳥カゴの糸がまた動き出した。
『うわッ、やば!』
油断した。マルーはすぐさま2人を抱え直して走り出す。
「うえ~ん……ママぁ……」
子供は相変わらずグズっている。アメーバに絡みつかれながら迫ってくる鳥カゴを見つめなければならないからさぞかし居心地は悪いだろう。
抱え直したことで2人ともマルーの背後にある鳥カゴの方に頭が向いてしまった。見えないのも怖いが、迫る糸が目と鼻の先にあるのもツラそうだ。
焦りながら走っていると、何だかさっきよりも鳥カゴが街を削る音が遠くに聞こえる気がした。
別にマルーの逃げ足が速くなったわけではない。持久力的にももう余力はないのはマルーが一番よく分かっている。
『……? おい、何が起きてる!?』
海兵に問いかける。
「鳥カゴが……た、たぶん少し遅くなってる」
戸惑ったような返事だったが、僅かながら安心したような口調に感じた。
何が起こったのかよく分からないが好都合だ。
マルーはそのまま順調に鳥カゴとの距離を少しずつ離していく。
段々、進んでいく先にたくさんの人の背中が見えてきた。みんな街の中心へ向かっているようだ。
しかし人がいっぱいで道が塞がってしまっている。
人混みで立ち往生していてはすぐに鳥カゴに追いつかれてしまうだろう。
『(そこそこ広い街路で人が渋滞している……向こうの路地はもっとダメだろうな)』
逃げ道を考えるも、大人数で詰まってしまった通りはこのパニックの最中だとどうすることもできない。
民衆たちも奥へ奥へ行こうと必死だが上手くいっていないようだ。
とりあえずマルーは鳥カゴから最大限離れた場所で両脇に抱えていた2人を下ろした。
海兵の上半身にはアメーバを纏わせたままにしている。子供は不安そうに辺りを見回していた。
「あ、ありがとう……命を助けてくれて。それに君のおかげで子供を傷付けずに済んだ」
『そりゃどうも。だが……ここからどうする?』
1人でよたよた歩いていく子供を捕まえながらマルーが眉間にシワを寄せた。
さすがに人を退けて進むわけにもいかない。
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