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【OP】さよなら、My Dear

第6章 麦わらとハート


〈相対するは海賊"麦わらのルフィ"!! きっと彼こそが「鳥カゴ」を破壊してくれる男! 勝つも負けるもあとたった数十分! ――だから何としても、逃げのびてくれ!! この縮みゆく国に誰一人押し潰される事なく走り続けてくれ! 息が切れても……足が折れても……生き延びてくれ!!!〉
嗚咽混じりに力強く訴えかける声が国中に響く。民衆たちも元国王の鼓舞を聞き、その目に涙を浮かべていた。
〈希望はあるのだ!! どうか諦めないでくれ!!!〉
リク王の言葉に背中を押されるように、人々は次々と街の中心へ向かってまた走り出す。
絶望的な状況なのは変わらないけれど望みはまだある。かつてこの国を善政で治め誰よりも慕われていた王からの激励を支えに、誰しもが生きる意志を固くした。
「すまん……私が間違っていた」
マルーの足元からそんな声が上がるや否や壮年が瓦礫を自力で持ち上げると、しっかりとした動きで這い出してきた。
『ええ!?』
意外にも力持ちだったようだ。そこそこの年齢に見えるが若い海兵にも劣らぬ逞しい体をしている。
壮年は血の滴る片足の怪我を気にもせずその場で立ち上がった。
『ひどい傷だ……走れるか?』
「ああ、大丈夫だ。煩わせてしまい申し訳ない」
『よかった。じゃあ気を付けて!』
言いながらマルーが走り出す。
「君! そっちは鳥カゴの方だぞ!?」
『他の人も助けに行くからな。アンタも途中で誰か困ってたら助けてやってくれ』
そう壮年に言い残し、マルーは端へ向き直った。
鳥カゴの糸で切られてもアメーバの身体なら死ぬことはないだろう。自身の命への脅威がない分、他の人よりかは多少冷静に動けるはずだ。
しばらく人の流れを逆走しつつ逃げ遅れている者に手を貸していった。
更に端の方へ行く。鳥カゴの糸はすぐ目の前だ。それなのに逃げない人影が2つある。
しゃがみこんで泣きじゃくる男児に、軍刀を構えてにじり寄る若い海兵の姿があった。
『!!』
こんな状況で何をしているんだ?!
マルーは驚きつつも急いで2人の元へ駆けた。
泣いたまま逃げる様子のない男児に向けて刀身が振り下ろされる。
『……海軍が何やってんだ!』
ギリギリ間に割って入ることのできたマルーが軍刀ごと腕に絡みつき、アメーバで身体を拘束する。
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