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【OP】さよなら、My Dear

第6章 麦わらとハート


しばらく走っていくと、瓦礫に挟まれて動けなくなっている人がいた。壮年の男だ。
力なく、ぐったりと倒れている。
『大丈夫か!?』
駆け寄って声を掛けた。生きているようだが抜け出そうとする意志が見受けられない。
アメーバを隙間に流しつつ男の上に落ちた瓦礫を持ち上げようとマルーは踏ん張った。
重い。少ししか持ち上がらない。
「……よせ、私に構ってないで逃げるんだ。私は足を怪我したみたいだし……出られてもいずれあの檻みたいなものに追いつかれてしまう」
『ぐぐ……ッそんな、こと、言うなァ! あんな奴に、簡単に殺されてしまうな!! 死ぬまで抵抗しろ!』
這い出そうとしない男を腰から生やしたアメーバの腕で引っ張るが、上手くいかない。
〈――みな……聞いてくれ!! 私は……元ドレスローザ国王リク・ドルト3世――〉
町中のスピーカーから誰かのアナウンスが流れる。
元国王か……たしかさっき王の台地の上で見掛けた気がする。
〈現国王ドフラミンゴの始めた"ゲーム"によってこの国は今……逃げられない巨大な「鳥カゴ」の中にある。更にその凶暴な「鳥カゴ」は町を切り刻み収縮を続けている〉
「リク王様……」
民衆は足を止めリク王の放送を聞いているようだ。
マルーも瓦礫を持ち上げようとしながらアナウンスに耳を傾ける。
〈突如降りかかった"現実"に感情がついていけぬままただ命を守っている現状だと思う。――だがこれは夢などではない! ――そして今日起きた悲劇でもない……! 私達は10年間……海賊の支配するドレスローザという名の「鳥カゴ」の中にいたんだ……!! 10年間ずっと……操られるままに生きる"人形"だったんだ……!! ――これが"現実"なのだ!!」
今になって分かりやすく危機が迫っているというだけで、ドフラミンゴが国盗りをした10年前から状況は変わっていないということだろう。
ロクでもない奴を七武海に据えてしまったものだ。
〈――だがそれももう終わる……!! 誰も敵わぬと思っていたドンキホーテファミリーはこの国に居合わせた屈強な戦士達の手によって今や壊滅寸前! ファミリーの幹部達は既に全滅! 討つべき敵はもはや現ドレスローザ国王ドンキホーテ・ドフラミンゴを残すのみ!!〉
さっきから何の為のスピーチかと思っていたが、これは良いニュースだ。マルーは希望が芽生える気配を感じた。
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