第6章 麦わらとハート
バルトロメオが困惑した声色でキャベンディッシュに怒鳴る。
キャベンディッシュから少し距離を取りつつマルーが様子を窺うと、何やら先ほどとは全く人相が違うことに気が付いた。恐ろしく吊り上がった目元と口元のせいかまるで別人のように見える。
「うおい!! 今なにをチラッと見たァ! バカなこと考えんでねェど!?」
バルトロメオがそう言って止めようとしている。視線は崖を走って登るロビンに向けられていた。次の標的を決めたようだ。
『この……ッ!』
マルーがキャベンディッシュを捕縛しようとアメーバを伸ばしたが既に遅く、目の前から居なくなってしまった。
『ロビン!!』
「ロビン先輩を狙うなァ~~!!!」
なんという速さだろう。ほんの一瞬で崖にいるロビンの元へ辿り着いてしまった。
迫り来るキャベンディッシュに気付いたロビンは能力で捕捉したようだ。遠目ではあるもののロビンの無事にひとまず安堵する。
「うおー!! すげェ、止めたァ~~~!!」
何か会話しているみたいだが……大丈夫だろうか。
結構離れているし高さもあるから助けに行きたくてもすぐには駆け付けられない。
それにこちらにはまだグラディウスがいるし………そうだ、そう言えばグラディウスがいたんだった。
マルーはキャベンディッシュで逸れていた気をグラディウスに向ける。
「今の内にカタをつけよう。消し飛べ――その壁と共に!! 五体満足でいられると思うな!!」
そう言うや否やロビンのいる崖が広範囲に渡って膨らんでいく。いつの間にか崖下に移動していたようだ。少し前にマルーが施したアメーバの拘束も解かれてしまっていた。
このままでは崖の破裂にロビンが巻き込まれてしまう。
「ロビン先輩に手出しはさせねェべー!!!」
バルトロメオが走り出すと同時にマルーも向かっていく。
「いい判断だ。そうさ、おれを倒せば……壁の破裂は止められる。"パンクヘア"!!」
グラディウスの生え際の一部分が小さく膨らんだかと思うと、破裂した端から髪の毛が矢のように射出された。何本もの毛髪がバルトロメオの脚を射貫き、堪らずその場で膝を突く。