第6章 麦わらとハート
「ウソでしょ!? カブト虫で人が飛べるわけないよ!」
「町を走って行きましょう!」
「んだんだ!! 賛成だべ!」
イエローカブというトンタッタ族が飛行手段にしている虫たちを見てロビンとレベッカとバルトロメオが全力で遠慮しだす。マルーも同感だった。
「時間もない事れすし、とりあえず飛んでくださーい!」
どう見ても普通のカブトムシだ。物理的に無理がある。
しかし有無を言わさず小人はそのまま4人を王の台地から蹴落としてしまった。
投げ出されて叫び声が上がるも、意外とゆっくりとした落下に気付きすぐに冷静さを取り戻す。小人が言うには、落ちる寸前に屋根を蹴って上昇するのを繰り返して進む方法だそうだ。
目指すは現在王宮がある場所のすぐ下のひまわり畑。
マルーはロビンの肩にしがみつきつつ、地上からの攻撃に警戒しながら下を見た。
1ヵ所、やけに燃えている地域がある。その周りには海兵がやたらと居るのも確認できる。何かと戦っているようだが、詳細はわからない。
「……あなた、海兵なのよね。仲間のところに行かなくていいのかしら?」
地上の海兵を眺めているマルーに、ロビンがそう問いかけた。
『さっきの子電伝虫で気付いたか。すまない、素性を隠しているつもりはなかったがアンタにとっては不愉快なことだろうな……ニコ・ロビン』
先ほどトレーボルがそう呼んでいた。橋で名前を聞いたとき、どおりで聞き覚えがあったわけだ。
マルーがまだまだ若かった頃によく聞いた、政府や海軍が血眼になって追い回していた悪魔の子の名前だ。8歳の少女に不自然なほどの多額の懸賞金が付いていたから強く印象に残っている。
「私を知っているのね……今なら空中だし両手も塞がっていてとても無防備だわ。あなた、これを狙っていたの?」
チラリと振り返って目配せしてくるロビンを見てマルーは焦った。疑われているんだろうか。無理はない。今まで散々命を狙われてきたのなら海兵に対しては嫌な思い出しかないだろう。
誤解だとしても恩人の1人であるロビンを裏切るようなマネはしたくない。
『も、申し訳ない。良かれと思って付いてきたが逆にアンタの不安を煽ってしまった。信用ならないだろうがロビン、決して危害を加えるようなことは私は……』
「冗談よ」
弁解しようと早口になりながら言葉を連ねていると、ロビンは小さく笑いながら言った。
