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【OP】さよなら、My Dear

第6章 麦わらとハート


トレーボルの声だ。
〈んねーんねー! ちゃんと働いてんのーーっ!? 見せモンじゃねーぞコノヤロー、べへへへ!!〉
立ち尽くす監視役やオモチャたちに業務を再開するようけしかけている。
トレーボルの言うことに監視役もオモチャも慌てて動き出した。
「ボサッとするな! 積み荷を運べー!!」
『うあ……ッ!』
木箱から蹴り落とされたマルーの体はすぐさま体勢を直し、事務的な動作で積み荷を掴んで持ち上げる。
『(何もできない……悔しい、苦しい、情けない。何も変えられない。変えてくれそうな奴も逃げてしまった)』
日々重い荷物を支える布も綿ももうボロボロだ。次のチャンスまで何年も待ってられない。
きっと助かる日を待ち続けたまま壊れて死んでしまうんだ。
嫌だ。死にたくない。ドフラミンゴの破滅を見るまでは死ねないのに。
誰か助けて。誰か助けて。自力では何も出来ない事実が本当に悲しくて情けなくて仕方がないけれど、それでもこんな日はもう二度と来ないんだから。他人に縋ってでも諦めたくはない。
誰か。どうか誰でもいいから。
私たちをこの地獄から救い出して。
〈……ウゾラ"ンドォ!!!〉
不意に、アナウンスに小人たちの音声が入った。
彼らはまだ信じている。ウソップを呼んでいる。
『(あいつ……もう出て行っちゃったのかな……)』
完全に消失していく希望をなんとか保とうとして、辺りをこっそり見回す。
〈ウソランドは……ぼく達だけじゃなく、全てを救ってやると……言ってくれたのれす〉
見当たらない。さっきの横穴に戻ったか? それともリフトへ向かったか。
〈毎日毎日この地下で働かされてるオモチャ達も……! 工場で奴隷にされてるぼくらの仲間達も……! 楽しく街を歩くようで……心の中で泣き続けているオモチャ達も……! 愛する者を失った事にも気付けない不幸な大人間達も……!〉
出口は少ないが、混乱に乗じて逃げ出すことは容易いだろう。
〈ウソランドはみんなを救ってくれる……伝説の英雄なのれす!!!〉
しかし1人でも無事で良かったなどと綺麗事を言える余裕なんてない。
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