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【OP】さよなら、My Dear

第6章 麦わらとハート


大きな音を立てて屋根に船がめり込んだ。
中にいるウソップや小人たちは無事だろうか?
それにロビンもどこに行ったのかわからない。
衝撃と船の重さに耐えきれず、音を立てて崩れていく幹部塔。周りの監視役やオモチャたちが崩壊に巻き込まれないよう逃げていく。
悲鳴と足音で辺りが埋め尽くされる。持っている積み荷に誰かがぶつかり、マルーは半ば潰されるように積み荷の下敷きになった。
『うぐ……!』
何とか這い出した頃には幹部塔はすっかり崩れて中が丸見えになり、港の人間たちは呆然と変わり果てた幹部塔を見つめていた。
マルーが積み荷の木箱の上に乗り、幹部塔の中を確認する。
シュガーとトレーボルが見える。その近くにあるやたら高さのある粘液には無数の小人たちが絡まっていた。
みんな捕まってしまったらしい。ウソップとロビンは……?
探すが見当たらない。どこかに隠れているんだろうか。無事だといいんだが……。
マルーが視線を忙しく動かしていると、突然幹部塔内が爆発した。
『(ああ……なんてことを!)』
きっとあの粘液の仕業だろう。威力が前に受けたものと似ている。
また幹部塔の周囲から人々が逃げていく。
もう作戦どころではなさそうだ。
みんなは大丈夫だろうか?
小人たちは? ウソップは?
幹部塔まで駆け出したい気持ちがあるのに動けない。命令に逆らえないからか、足がすくんでいるからか……どちらにしろマルーは黙って見つめることしか出来ない。
床に転がって死にかけているトンタッタ族が見える。あとは、視界の隅で1人走っていく監視役の姿がある。
モサモサの後ろ髪……ウソップ?
『(まさか! 小人たちを置いて……逃げているのか!?)』
唖然としつつウソップの背中を目で追う。
勝ち目のなくなったこの状況での敗走は正しい判断かもしれないが……小人たちは? 私たちは?
もう希望はない。みんな助からない。
そう言えばアイツは嘘のヒーローだったな。おだてられ流されてお立ち台に立たされた嘘つき野郎だ。
臆病な人間なりに頑張ったんだろう……だが失望を慰めるにはあまりにも足りない。
『(お願いだ! 戻ってきてくれ! もうお前だけしか頼りが居ないんだ……!)』
必死に心の中で訴えるが、聞こえるはずもなくウソップは遠ざかっていく。
〈おい、外の者~~!!〉
幹部塔からのアナウンスが港に響く。
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