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【OP】さよなら、My Dear

第6章 麦わらとハート


大きな植物を掻きわけ乗り越え、森の中へと進んでいく。
マルーはまた長鼻の肩に乗せてもらい付いて来ていた。
『そういやお前たち……名前は? 私はマルーだ』
長鼻と女に聞く。
「おれの名はウソップ。勇敢なる海の戦士だ」
「ロビンよ。よろしくね、子猫ちゃん」
どちらも友好的な印象だ。変な奴らだとは思ったが、人格面は今のところ悪くない。
『(ロビン……? どこかで聞いたような……ないような……)』
新聞か何かで見ただろうか。でも会ったのは今日が初めてのはずだ。
まあ気のせいだろう。
「マルー、道が悪いし落ちんなよ」
巨大な横這いの幹を乗り越えながらウソップが言う。
『……私が余計な世話をしたせいで、お前たちの足手まといになってしまったな。橋を渡ろうとするのを見て、ただの何も知らない一般人だと思ったんだ。申し訳ない』
「気にすんなって。あんたも親切心で追いかけて来てくれたんだろ」
悪路を難なく進んでいくロビンに一生懸命ウソップが付いていく。マルーも振り落とされないよう6本の手足でモサモサの髪にしがみついた。
ふと、少し離れたところから声が聞こえた。
「どこにいる……!? 誰だ! 出て来い……!!」
複数人の男たちがしきりに周辺を見回している。彼らの羽織っているマントやセーラー、帽子は一等兵以下の者が着用する制服だ。
下っ端の海兵たちが森で見えない何かと会話している。
『…………』
「海軍だ……!」
ウソップとロビンが木の陰に隠れて彼らの様子を窺う。
銃を構えている海兵たちは何者かといくらか問答を繰り返した末、あっという間に身ぐるみを剥がされてしまった。下着1枚にされた海兵たちは慌てふためいて逃げていく。
おそろしく速い何かがいる。それを見逃さなかったロビンが即座に腕を構えた。
「"千紫万紅" "花畑"!!」
瞬間、辺り一帯の足元に無数の女の腕が生える。
「捕まえたっ!」
「え? ロビン!! 何を!?」
「たぶん……小人!!」
咲いた手の辺りから何やら叫び声のようなものが聞こえる。およそ誰かいるようには見えないが、確かに人語を介する何かがいるらしい。
ロビンが一足先に、地面から生える腕が掴むものの姿を確認した。
「おいロビン!! 小人って……」
ウソップが急いでロビンに駆け寄ろうとしたその時、辺りに何か粉のような、煙のようなものが立ち込める。
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