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【OP】さよなら、My Dear

第6章 麦わらとハート


口から血を吐きぐったりとした闘魚が、向こう岸の誰かに引き摺られ運ばれていく。
微かに話し声が捕縛された闘魚の陰から聞こえてきた。
何人も居るみたいだ。
「誰の声……?」
「島の住人たちか……!?」
「無人島じゃなかったのか!?」
みんな驚いている。マルーも長い間グリーンビットは無人島だと認識していたので、人の話し声がしたことが意外だった。
「おーい、そっちにいるのは誰だ~~!? おれ達橋を渡りたいんだが!!」
向こう岸から聞こえる声に長鼻が呼び掛けたが、届かなかったのか無視されたのか返事はなくそのまま死んだ闘魚の姿も霧の中に消えた。
結局正体はわからないままだったが、一行は切り換えてマフラーの男に島まで運ぶよう命令した。
風船のように浮くマフラーの男の両腕を椅子代わりに、3人が向こう岸へ運ばれていく。
飛行できる能力者は希少だ。マルーはフードの中から下を見て少し羨ましく思った。
「おいお前、ぬいぐるみがドフラミンゴに何をされた?」
フードの男がマルーに話し掛ける。ドフラミンゴを憎む要因は色々あるが、何よりも真っ先に頭に浮かぶのはロシナンテの顔だった。
『私は大切な……大好きな人を殺された』
「………そうか。おれも同じだ」
フードの男が呟くように返す。
やはりドンキホーテファミリーは滅びるべきだ。マルーは改めてそう思う。
しかし、まだ復讐は果たせていない。復讐できる見込みもない。
『ドフラミンゴを倒してくれ。私はもう10年近く、友を殺した奴を殺すことばかり考えている。けど私には無理だ。……8年もドレスローザにいて、何も出来てない』
我ながら、他力本願で無責任な頼みだなと思いつつマルーは力なく言う。
フードの男からの返事はなかった。少し俯いているような後ろ姿を暫し見つめたが、やがて島に上陸したためその時間も終わる。
一行は砂浜の上に降り立ち、植物の生い茂る鬱蒼とした森を前にした。
どうやらこの島で取引を行う予定らしい。マフラーの男は交渉用の人質だったようだ。
勢いでここまで来てしまったマルーだが自力では本土に帰れないため、彼らの取引が済むまで長鼻と女の2人と行動を共にすることにした。









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