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【OP】さよなら、My Dear

第5章 ドレスローザ


訳もわからないまま無数のオモチャ達とともに荷物運びを延々させられ、半日後にやっと身体に自由が戻った。
他のオモチャ達が揃って地上へ出ていく様子を見たマルーは、戸惑いつつも同じように付いていく。
自由に手足が動かせるとはいえ、閉塞感のようなものがずっと消えない。身体に違和感がある。
『(悪夢じゃあ、ないんだよな……?)』
地上に上がりファンシーな建物から出ていくと、目の前には昨日と変わらない街並みがあった。
平和で賑やか。
ただ、あの少女に触られてからというものずっと視線が低い。しかも手足が何だかおかしい。
強制労働に必死でそれどころではなかったが、改めて見ると……どう考えても人の手足ではない。
近くの店の陳列窓のガラスで姿を映して確かめてみると、そこには変わり果てた自分がいた。
『……ッな!?? ハ………ァァ"ア"!?』
明るい色をしたコットン生地の体、つぶらなプラスチックの瞳、蝶結びされたリボンの首輪に電伝虫モチーフの金属の飾り。
マルーは目を疑うも、本来自分が反射しているべき場所には可愛らしい6本脚の猫のぬいぐるみが立っている様子しか見えない。
しかも自分の動きに合わせて動いている。
『まさかとは思ったが……私もオモチャにされてしまっていたのか』
思えばディアマンテもトレーボルもそんなことを言っていた。もっと低俗な比喩表現か何かだと考えていたが、そのままの意味でしかなかったようだ。
地下の工場で働いていたオモチャ達も、元は自分と同じ人間だったんだろう。おそらく悪魔の実の能力のしわざだ。
少女に触られオモチャに変えられてしまい、無理やり命令に従わされている。
ドレスローザの国民達はオモチャと仲良く過ごしているようだが、この事実は知っているのだろうか?
試しに近くにいた女性に声を掛けてみた。
『そこのレディ! 私の声が聞こえるか?』
「あら、可愛い猫のぬいぐるみ……」
『助けてくれ、私は人間だ。極悪非道なドンキホーテファミリーにオモチャにされてしまったんだ!』
身振り手振りで必死に伝えると、女性は青ざめた顔でマルーを見つめた。
「だ、誰かああ! 早くッ! 人間病よォーー!!」
キャーキャー叫びながら女性が逃げていく。
『……?!』
女性の背中を呆然と見つめていると、後ろから複数人の走る音が聞こえてきた。
「動くなッ! 警察だ!」
警察……?
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