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【OP】さよなら、My Dear

第5章 ドレスローザ


もいだ左手を再生させながら、昼間に出会った兵隊人形を思い出した。
訝しみ、アメーバの下にいる得体の知れない盗人におそるおそる近寄る。
『……!!』
近付いたのを見計らってか、アメーバに覆われた何かがマルーに向かって飛んできた。
咄嗟に捕まえようとしたが手が掠ったのみで風呂敷の端を引っ張ることしかできない。しかし、隙間ができたのか中身がいくつか零れ落ちた。
瞬間的に分かったのは、風呂敷包みを抱える何か小さいものがいたことと、そいつがマルーのポケットからタバコの箱を抜いていったことだった。
『アイツ……! また盗みやがった』
舌打ちをしつつ振り返ると、風呂敷の隙間から零れた物が点々と道なりに落ちているのが見える。少し遠くまでバラ撒かれた落とし物のなかにはマルーの子電伝虫もあった。
『……よかった』
あの子電伝虫は海軍からの支給品だ。最終的には返さなければいけない大事な貴重品だから失くすのは避けたい。
すぐに取りに行こうとマルーが駆け出す。すると近くの道から人が出てきて落ちている子電伝虫を拾い上げた。
「……これ、お前のか?」
そう言って子電伝虫を差し出してきたのは身の丈がマルーの3倍以上ある大男だった。
あまりにも高い身長と、顔面に2本入った血のように赤い化粧の奇妙さに気圧され思わず後ずさる。
「すまない、恐がらせちまったか。ほら、お前の落とし物なら受け取りな」
そう言って腰を曲げながら大男はマルーに子電伝虫を渡す。恐々と両手を出したマルーの手に子電伝虫をしっかり握り込ませ、こう言った。
「もう0時は過ぎたぞ。海兵がドレスローザに何の用だ?」
それを聞いた途端、マルーの身体に芯まで凍るような衝撃が走る。大男の大きな掌に包まれて見えないマルーの手の中の子電伝虫は、海軍を表す模様と色で飾られていた。
しまった。身元がバレた。ドレスローザで海兵に居られちゃ困る人間なんて、ドンキホーテファミリーの奴ら以外にいない。
『……!』
握られた両手を掴み上げられ、そのままマルーの足は地面から浮いていく。
『は、離せ! 誰だお前は?』
「ほう、コロシアムの英雄ディアマンテを知らないのか。ファミリーを嗅ぎ回るネズミじゃあないのか……?」
顎に手を当てて訝る大男に、マルーが言う。
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