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【OP】さよなら、My Dear

第4章 友の訃報


マルーは復讐しようと思いつき、ゆっくりとソファから起き上がった。
『まずは、情報収集か……』
潜入捜査の内容ついては極秘らしく、生前のロシナンテからは北の海に行くということくらいしか教えてもらえなかった。
ロシナンテが教えてくれなかったんだから、センゴクに聞いても教えてもらえるはずがない。
だが当てがないわけではなかった。
休憩室から離れたマルーはすっかりカピカピになった将校コートの袖を水道で洗い、備え付けられた鏡で顔を確認する。
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった酷い面も水で洗ったが、泣いた痕跡が消えない。
『"スライム"……"モールド"』
顔面をアメーバ化し、平常の顔を再現する。
マルーはいつも傷を負った箇所をアメーバ化させて増殖で塞ぎ、損傷をなかったことにしている。その応用で泣き腫らした顔を元に戻せたことに内心ホッとした。
『さて、仕事に戻らなきゃ』
両頬を手のひらで軽く叩き気合いを入れる。情けない面を部下たちに晒すわけにはいかないので鏡に向けて作り笑いをして見せた。
その直後、また涙がホロリと流れ落ちる。
『さすがにこれは無かったことにはできないか。ははは……ハァ』
溜め息を吐きながら涙を拭う。
心の切り替えができないことに、少しの煩わしさとロシナンテへの未練を感じながら手洗い場を後にした。









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