第3章 ドジっ子
『うるさい。お前の能力も似たようなもんだろ。音が聞こえなくなるだけって何の役に立つんだよ、言ってみろ!』
「"凪"」
『………!! …………………!(こらッ!! 私の声は消すな!)』
マルーは立ち上がって肩を掴んで揺するが、ロシナンテは不敵な笑みを浮かべている。ピースサインが何とも憎たらしい。
ナギナギの実の能力を使いこなしているのはいいが、そういうことじゃない。マルーが不服を叫んでも、ロシナンテの能力に遮られてしまう。
結局この時はお互いの能力でじゃれ合っただけになり、身体がちょっとキモくなる人間と相手の小言をミュートする人間という認識のままで各々の持ち場に戻ることになった。