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【OP】さよなら、My Dear

第3章 ドジっ子


中佐になりたての頃、悪魔の実の能力を手に入れたマルーはせっかくだからとロシナンテに直接報告することにした。
電伝虫で約束の日を取り付け、本部の休憩室で落ち合う。
久しぶりに会ったロシナンテはまた背が伸びたようで、ソファに座っているロシナンテにマルーの背は追い越されてしまっていた。
『こないだ悪魔の実食べたぞ。超マズかった』
ムッとした顔のまま隣に座りながらマルーがそう言うと、ロシナンテは驚きと嬉しさが弾けたような笑顔で返す。
「お前も食ったのかー! 何の実の能力者になったんだ?」
マルーの不機嫌な顔など意に介さず、無邪気なものだ。
年々開いていく体格差などロシナンテにとってはどうでもいいことなんだろう。マルーもその場では気にすることを止め、ロシナンテの質問に答えた。
『メビャエビャの実にょ全身アミャアバ人間だ』
「ははは、すっげェ噛んでる」
『笑うな。メ……バ、メバの実をナメるなよ』
メバメバの実。マルーは未だに慣れぬ発音に少し顔を赤くしつつ、ぎこちなく言い直した。
ロシナンテは膝に頬杖を突きながら覗き込むようにマルーを見る。
「どんなことができるんだ?」
その問いかけに、マルーは待ってましたとばかりにしたり顔で腕を組んだ。
『フフフ……聞いて驚け、身体がアメーバになる』
「へぇ、ちょっと見せてくれよ」
言われてすぐ、マルーはロシナンテの眼前に右手を突き出した。するとその手が変質し、流動するように垂れて形が崩れていく。
『増殖だってできるんだ。見てろ』
スライムのような、ナメクジのような質感になった手のひらから湧くように少量の同じような物質が出てきた。
「なんか地味だな」
悪気なしに笑いながらロシナンテがマルーの手を指差す。
まだ悪魔の実を食べてから1ヶ月ほどしか経ってないのもあり、今のマルーにはこれが限界だった。しかも全身をアメーバ化させると自重に耐えきれず人の形を保てなくなる。
地味なのは自分でも分かっているが、実際に言われると何だか悔しくなってきてしまった。
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