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【OP】さよなら、My Dear

第3章 ドジっ子


『まったく……目を離した瞬間にドジるな。心臓に悪い』
「すまねェな。火ィ消してくれてありがとよ」
反省した様子はないが、眉尻を下げてロシナンテはマルーに礼を言う。
「さてと、一応燃えたところに水ぶっかけなきゃな」
吸い終わったロシナンテがソファから立ち上がって手洗い場に向かっていく。
「じゃあな、マルー。今度また一緒に飯食おうぜ」
『ああ……またな』
いくつか言いたいことはあったが何だか疲れてしまったためマルーはそのまま別れた。
嗜好品とはいえ海軍でも大概の喫煙者はタバコに依存している。
ロシナンテもきっとそうだろう。吸う動作はわりと手慣れているように見えた。止めろと言って素直に止めてくれる状況ではもうなくなっているはずだ。
ニコチン中毒だとか健康被害だとかは自己責任だから別にどうでもいい。マルーにとって肝心なのは、ロシナンテがとてもとてもドジだということだった。
『誰だよ、クソ上官』
やたらしくじるロシナンテにタバコを覚えさせるなんて、火薬倉庫でファイヤーダンスを踊るようなものだ。
マルーは件の上官が誰なのか見当もつかなかったが、誰だか知ったところで上官に悪意をぶつけるわけにはいかない。よくも、と文句を言いに行ってしまうはずだから知らないままの方が平和だろう。
けれどいつかロシナンテが原因で海軍本部や軍艦でボヤが起こったなら、全ての責任をその上官に負わせてやりたい。そう思うくらいには、マルーはロシナンテの喫煙が不満だった。









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