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【OP】さよなら、My Dear

第3章 ドジっ子


「ほら、水だ飲め」
酔い醒ましのための水を飲ませようとロシナンテが抱き起こす。しかしマルーは不機嫌そうに顔をしかめて瞼を閉じていた。
『死なないと言え。おれは無敵だと宣言しろ。老衰だけが伴侶だと誓え』
「なんだそりゃ……無理いうなよ。まあ、そもそも死ぬつもりはこれっぽっちも無いから心配すんな」
無理やり水を飲ませてからまた寝かすと、マルーが気だるげな声で呟いた。
『おい、服が濡れてるぞ……水持ってくる途中でまた転んだな? お前がドジだから、お前がどんなに強くなったって私はいつまで経っても安心できやしないんだ……』
濡れた服がマルーに当たって染みたんだろう。マルーの服も部分的に湿ってしまっていた。
『そりゃあ、いつかは運も尽きて呆気なく死ぬだろうが……それでも私はロシナンテには死んでほしくないよ』
メソメソ泣きながら聞き取りづらい声量で吐露するマルーを見てロシナンテは溜め息を吐く。
いつもと違って弱々しい友人の態度に何とも言えない落ち着かなさを感じた。
「なんだよ、おれだってなァ………。マルーこそ、簡単に死ぬんじゃねーぞ」
乱れた襟元を整えてやりながら言うも、眼下からはすでにイビキが聴こえていた。
少し悔しい気持ちになりながら、マルーが起きるまで昼寝をしようと寝っ転がる。
「おれだって、お前が心配だよ……」
呟きつつ、隣から聴こえる寝息を子守唄代わりに瞼を閉じた。









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