第16章 自覚は本人の前で
本当に解決するのかな? まぁそれ以外に解決方法は教えてもらってないし、取りあえず実践してみるべきだろう。
今日は元々一緒に帰る約束をしていたから、その時に聞こっと。
──放課後。廊下で待ち合わせをして、二人で下駄箱に向かう。
こうやって帰るのは何度目だろうか。この時間は、私の一日の楽しみの一つだ。
「鳥束くんに、相談したい事があるんだ」
分かれ道に着くまでに相談内容を話しきらないといけないから、私は早速本題に入った。
「どうしたんスか?」
靴を履きながら鳥束くんが言う。私も履き替え終わり、私たちは歩き出した。
「私、最近おかしくて」
「おかしい?」
「うん。鳥束くんといると、心臓が変になるの」
「……はっ?」
校門前を歩く鳥束くんは立ち止まる。後ろを歩く生徒が鳥束くんにぶつかりそうになった。
危ないな、なんて考えて、私は相談中だった事を思い出す。