第12章 私は今だけ『催眠術が効かないタイプ』
「大丈夫ですよ、痛くしないんで……」
「そういう問題じゃないって!ㅤなっ何かおかしいよ照橋さん!?」
怪しい事を言い始める鳥束くん。
照橋さんと呼ぶ事で何とか軌道修正出来ないかと思ったが、それは叶わなかった。
鳥束くんの暴走は続く。
いや、状況が特殊なだけで割といつも通りな気がしてきた。
ああ、頭が痛くなってくる。
取りあえずもう一度鳥束くんの腕を引っ張り、部屋の隅っこに移動した。
「プロレスとか脱がせっこって何!?ㅤ怪しすぎるって!」
「絶好のチャンスなんだからそれぐらいするでしょう!?」
「下心しかないな!」
小声で会話をする私たち。
そう言えば外にいる時に鳥束くんは凄い顔をしていたし、こうなる事も想定しておくべきだった。
私がどうしようか頭を悩ませていたところ、突然隣から気配が消えた。