第12章 私は今だけ『催眠術が効かないタイプ』
長話をしていると怪しまれるかもしれない。
私たちは皆のところに戻る事にした。
「何話してたの?」
「照橋さんとの秘密って事にしといて……?」
我ながら誤魔化すのが下手すぎる。
幸い誰にも追求されなかったから助かった。
「ほら行こっ?」
「え?ㅤどこに?」
鳥束くんは首を傾げる。
「どこって決まってるじゃない。私たちの部屋よ」
それを聞いた鳥束くんの表情が凄い事になった。彼の思考が手に取るように分かる。
私には鳥束くんに見えるけれど、皆からは照橋さんがあんな顔をしている事になるから本当にやめてほしい。
私はため息を吐きたいのをぐっと堪えた。
鳥束くんを女子部屋に行かせるなんて絶対やってはいけない事に思えるけれど、この状況では仕方ない。
周りに鳥束くんを照橋さんだと信じさせつつ、彼が暴走しそうになったら止めなくてはならない。
事情を知っている私が、何とかするんだ……!